秘録『霊符術』口傳 初傳之巻

  はじめに

 これより語ることは、太古伝来の秘術口傳の一部にして、いっさいの他言・吹聴を禁止する。
 施術者当人の責務において施法成就されることのみを許可し、・・・<中   略>・・・  なお、まわりくどい語り口調は口傳の為あしからず了承いただき、 ・・・<以 下 略>

 



   霊符之事

 まず霊符について簡単に話をしておく。霊符というのは、特定の意図を持って目に見えぬ眷族精霊の類と使役の契約を結び、その訣を印して符と為したものである。
 多くの先人先達が神傳霊伝の命の元に密かに傳へ記したものであり、その伝来の種別によって神道修験道式・仙道儒家式・仏法密教式と傳わる霊符や祈祷式次第に違いがある。霊符自体を蒐集して眺めてみると、・・・<中   略>・・・
 本講においては、霊符の種別・用法は後に回し、まず施術の妙法を口傳する事より始める。この基本中の基本を押さえておけば、いかなる霊符に巡り会おうとも必ずや神速成就のことが想念出来るので、少々退屈ではあるが一言一句漏れ落ちることの無きようにお聞きいただくよう希望する。



   霊符術之心得

 さてこれより口傳する『霊符術』の妙法は、既存の類書では熟達者でも難しかった内容の要訣を手ほどきする事に目的があり、百読千聞に値すると自負している。
 この妙法口傳に則って霊符術を施法するならば、・・・<中   略>・・・
 ただし、本来はその道の熟達者に備わった人格・技術・身体をもって、初めて可能になるべき「術」なので、・・・<以 下 略>

 

   九水之傳

一、天之月水(安産・経水符用)
     <中   略>
二、露水(病人祈祷用)
     <中   略>
三、天水(延命祈祷用)
     <中   略>
四、井水(一般祈祷用)
     <中   略>
五、湧水(出産符・延命祈祷用)
     <中   略>
六、渓水(病人祈祷用)
     <中   略>
七、別水(別離祈祷用)
     <中   略>
八、乳水(安産・延命・神通符用)
     <中   略>
九、辛水(出産符用)
     <中   略>
十、甘露水(増益祈祷用・神通符用)
     <中   略>
 

      神通祈祷祭壇結界図
      病気平癒祈祷祭壇結界図
      調伏祈祷祭壇結界図

 
 
   おわりに

 まだまだ言葉足りぬはもとより、直に手取り足取りせねば伝えられぬことも多いので、お集まりの方々には、おもはゆき感のあろうかとも思う。ただ、これまで秘伝口傳として公にはならなかったであろう事柄ゆえ、・・・<中   略>・・・
 今回の初傳では、本当に必要最低のことに、少しばかりの秘伝を添えただけである。霊符術の骨頂は、その各霊符ごとに口傳され、秘符とされる真符が公開されることかもしれない。
 ・・・<以 下 略>

 

鎮宅七十二霊符調符之要訣

   鎮宅霊符とは

 この鎮宅七十二霊符は、中国が漢の時代に劉進平という赤貧の一家の家に、ある日仙人が現れ七十二に霊符を彼に授けて「常に此の霊符を尊信して朝夕礼拝祈念を怠らないなら、十年にして一家繁栄し、二十年にして天子が来る。」と告げて姿を消した。進平は篤信家であったので、仙人の云うとおりにこの霊符を信奉して朝夕礼拝祈念を怠らなかった。その結果、巨富を得て一家は繁栄しその奇跡が世間の評判となった。 
 風評を聞いた時の帝王孝文皇帝は自ら進平を訪ねてその由来を聞かれ賞賛し、皇家伝来の秘術とした。その後、中国より伝教大師最澄によって日本に伝搬されたと云う。
 鎮宅七十二霊符を大別すると以下の十二法となり、それぞれに施法の口傳がある。
 除疫病法・長寿無病法・護持国王法・除宿曜法・除人疫法・除畜疫法・除頭病法・除鬼魅法・除虎病法・除嬰魅法・除劫賊法・除苗嫁法
 それぞれの意は、霊符ごとの大意より推測せられたい。

 



   鎮宅七十二霊符

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